ブラジルぬサビヤ

ブラジルぬ国に サビヤ鳥啼きばよ
我んね沖縄島 思び出じゃち寂さよ
また泣ちゅさや 啼くなよ
サビヤさびさびとぅ 西日赤々とぅよ
ジャラグヮ山染みてぃ 日ん暮りてぃ行ちゅさよ
また泣ちゅさや 啼くなよ
ブラジルぬサビヤ 春なてぃどぅ啼ちゅるよ
季節知らん我んや 誰る頼でぃ泣ちゅがよ
また泣ちゅさや 啼くなよ
春来りば春に 秋なりば秋によ
サビヤ歌声小ぬ 移民慰みてぃよ
また泣ちゅさや 啼くなよ
生まり島情き 肝に抱ち朝夕よ
サビヤ鳥啼ち声 聴ちょてぃ暮らさびさよ
また泣ちゅさや 啼くなよ

(作詞:又吉哲雄  作曲:普久原恒勇)

ブラジルぬサビヤ

サウダージという言葉を知ったのは彼の国を訪れてからのことである。沖縄をはじめ日本各地からの移民を乗せた船がブラジルに到着してから100年という節目を迎えたその年に、ブラジルに行くことができた。
多くの人に会い、多くのことを学んだ取材だったが、なかでも忘れられないのは、現地でアテンドして下さった2世のOさんの言葉。サンパウロの農地でずっと貧しい生活を続けてきたOさん、父母の故郷・沖縄の土を踏んだのはごく最近のことだったという。初めて会う沖縄の親戚と数日間を過ごし、そしてブラジルに帰るという日の前の晩、彼は帰り支度をしながら大泣きに泣いたそうだ。「泣けて泣けて仕方がなかった。あんなに泣いた事は無いしなぜ泣いたのかも分からないが、初めて会った親戚や沖縄の光景が胸に焼き付いて離れなかった。うまく言えないが、故郷とは、移民とはそういうものだと思う」
それを聞いた時、私は思わず胸が詰まり言葉を失った。遠く異国の地で暮らしてきた同じウチナーンチュのサウダージ。その歴史を、気持ちを、私たちはこれまで知ろうとしてきただろうか?
取材にこたえた戦前の一世は「辛いことも多く大変な目にもあったが、ブラジルでの半生は最高だった」と目を細めた。
豊かな暮らしを求めて海を渡ったのに、辛酸をなめるような苦しい生活を送ってきた戦後1世の女性は「でも、ブラジルはやっぱり一番いい国だと思う」とぽつりと呟いた。
彼らの長い人生を語りつくすことはできないが、せめてこの人々の思いを故郷沖縄に伝えたいと思った瞬間である。
15万人の沖縄県系人が暮らす国、ブラジル。
心優しいウチナーンチュが暮らすサンパウロの大地は赤土。そこに伸びるハイウェイの脇にはイペーの花が咲いていた。
そこは、遠い外国ではなかったのだ。(比嘉雅人)

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CD「月ぬ美しゃ」 by Lacorde (2010年9月22日 十五夜 発売)
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